トルコの政情

トルコの政治は、行政権・立法権・司法権の三権分立を標榜しており、行政府は大統領および内閣、立法府は一院制のトルコ大国民議会、司法府には最高裁判所が置かれています。現在の政治制度をは1980年のクーデターの後、アタチュルクの近代化政策によって政教分離され、1982年に憲法が定められました。宗教の自由が認められ、世俗主義の政治が行われていますが、トルコの政情は、既存の勢力とイスラム教系統の党との衝突があり、最近では、米国領事館への襲撃事件があり、テロなどの懸念があります。EU(欧州連合)への加盟申請を行っていますが、キプロス問題の解決やクルド人やイスラーム主義に対する人権抑圧の改善が求められるなど、EU加盟に基づき様々な問題を抱えています。

世俗主義国家

世俗主義は、フランスのライシテを模範とする極端な政教分離原則であり、国父であるアタテュルクによって敷かれたレールがトルコ共和国の基本路線となっています。そのため、フランスと同じように、公共の場で宗教的な思想を公にすることを忌避されています。しかし、アタテュルクの政教分離はフランス型の政教分離とは異なります。アタテュルクは、全ての宗教団体の結社を禁じる一方で、総理府所属の総務庁統括とし、全国にモスクを維持設置し、説教師や導師を公務員として採用、コーラン学校やイマーム学校を監督している。アタテュルクは、厳格な国家管理のもとに宗教を置き、世俗的で近代的な国民国家のあり方に反しない範囲に宗教を押し込め、完全に統制しようとするものであった。しかし、第2次世界大戦後の保守派の政権により、イスラム推奨政策によって宗務庁が積極敵にイスラム教育を推進することもあった。1960年に起きたクーデターは、長期政権期に起きた経済停滞と、その対処として首相が独裁化としたことに対して起き、1980年、経済混乱の沈静化を目的とした軍によるクーデターが起きましたが、2度のクーデターの実行者が政治家の問題行為として考えたものの中に、イスラム勢力と接近、イスラム推奨政策があったことが広く指摘されています。1980年に起きたクーデター以降は、イスラムはトルコ国民と不可分であるという認識が主流となっており、公立学校において行われるイスラム教育が拡充されている。

政治と軍の関係

1960年と1980年のクーデターは、イスラム主義の政府の混乱に対して圧力をかけました。1960年のクーデタ以降は、国家安全保障会議の設置が憲法に定められ、安全保障問題に関して軍が内閣への助言を行う権利を有しています。経済・教育・社会問題など、様々な議題を扱う内閣の上位機関として機能している国家安全保障会議ですから、この軍の権限の背景には、クーデタ以外にも軍部の圧力で内閣が退陣に追い込まれる事件が過去に起きています。軍部が政治介入することは、国民の軍に対する高い信頼に支えられているといわれています。

1980年に起きたクーデタ以降、アタテュルク主義と呼ばれるアタテュルクの敷いたレール護持を望む世俗主義派として軍の性格を強めてきているなか、1990年代にイスラム派福祉党の勢いが増し福祉党は一時政権の座に着きましたが、反世俗主義派の憲法違反と検察によって告発され、憲法裁判所で解党命令を受けました。その引き金が、国家安全保障会議を通じた軍部の福祉党政権に対する圧力です。トルコ共和国の建国以来、政治家を数多く輩出した軍は、アタテュルックをはじめ、政治における重要な要因となっています。

EU加盟問題

トルコ政府は近代化改革として、欧州連合への加盟を目指しています。EU加盟については、国民の過半数に支持されていますが、ヨーロッパ側は、加盟の条件として、人権抑圧やキプロス問題の解決など、様々な問題を掲げている。 1963年にはEUの前身であるEECとトルコとの間で連合協定が調印されており、トルコはEUと協調に関係にあります。トルコは、1987年に正式な加盟国となることを申請していましたが、申請から12年という月日がかかり、1999年に正式な加盟候補国として承認された。その後、2004年の欧州理事会が開かれ、トルコの加盟協議を2005年10月に開始すると発表された。2005年10月に開始された審査手続きは2006年10月に完了した。

CIAによるとトルコは先進国に分類されていています。

  • 1949年から欧州評議会加盟国である。欧州評議会加盟国のなかで7番目に経済規模が大きい。
  • 1996年、EUとは関税同盟を創設していること
  • 1961年のOECD(経済協力開発機構)発足時の原加盟国である
  • 1973年の欧州安全保障協会機構の設立時からの加盟国である
  • 1992年以降は西欧同盟の準加盟国になっている
  • 1999年のG20主要工業国発足当初のメンバーである

このように、トルコはEUと密接な関係を持っているため、賛成論には以下のようなことが挙げられます。

  • 加盟によってトルコの民主政が改善させること
  • OECDやG20加盟国のトルコが加わることで強化される
  • NATO第2の兵力を持つトルコの加入によってEUの軍事力が増強される
  • トルコは加盟条件を遵守すると主張している

トルコはEU加盟に向け行動を取り始めてから40年以上も時が経ち、加入の障害となる状況を大きく改善しているため、トルコの加盟について、EU側にこれ以上先送りできないのでは、との見解もあります。
しかし、トルコの加盟に反対する側にも様々主張があります。

  • 過去から現在でもトルコの政権は、民族的少数など、とくにクルド人のような宗教的少数、政治的反体制派ケマリズム批判論者に対して差ベルを行っていること
  • トルコの政治は軍が大きな役割を持っていることため、EU加盟の重要原則である自由民主主義を尊重していないこと
  • トルコは西アジアと東ヨーロッパにまたがる地理をしているが、ヨーロッパにはわずかしか領土がないということ
  • 国際連合安全保障理事会は北キプロスの占領は国際法上無効であると宣言し、トルコ軍の撤退を要求しているが、キプロス島の1/3を占領し続けている。国際連合の仲介のもとでキプロス紛争が解決されるまで、キプロス共和国の承認をを拒否しているという懸念がある

過去に繰り返された1960年以降、4度の軍によるクーデターが起きたことで、軍が民政の大きな要因であることが、加盟基準にある安定的な民主主義について疑問視されています。